病棟管理でよく聞くペーシングのフュージョンとは?

病棟看護師の方から『フュージョンだと思うんですがどうでしょうか?』とモニタ心電図波形を見てくださいとよく言われます。

循環器病棟で意欲的に勉強している看護師さんに声をかけてもらえると嬉しいものです\(^o^)/

では、そもそもフュージョンとは何でしょうか?

融合収縮(fusion beat)とは?

現場では『融合収縮』という呼び方をしている人は見たことがないですね。

融合収縮は英語でフュージョンビートといいます。

略して『フュージョン』と現場では呼んでいます。

フュージョンにはいくつかの種類があります。

  1. 融合収縮 (fusion beat)
  2. 偽性融合収縮 (pseudo-fusion beat)
  3. 偽性偽性融合収縮 (pseudo-pseudo-fusion beat)

 

融合収縮

元々ある生理的自己伝導による興奮ペースメーカー刺激による興奮がぶつかり合う状態を言います。

2箇所から興奮が広がるため体表の心電図が正常波形ともペーシング波形とも違う波形が出現する。

特に大きな問題にはならないが以下のデメリットが挙げられる

  1. 心臓興奮が一定ではなくなること
    ▶2箇所からランダムなタイミングで興奮が広がるため、収縮が不安定で心拍出量が変化
  2. 不必要なペーシングが出力されてしまうこと
    ▶自己伝導が有るのに不要なペーシングを出力している状態

 

回避方法としては以下の2つ

  1. シングルチャンバーでは設定レートの変更
    ▶自己心拍数とペーシング設定レートが似ており、タイミングが重なってしまうのが原因
    ・自己心拍数より設定レートを下げる=自己脈を優先させる
    ・自己心拍数より設定レートを上げる=ペーシングで自己脈の出現を抑える
  2. デュアルチャンバーではAV delayの変更
    ▶自己房室伝導とペースメーカーAV伝導時間の設定(AV delay)が似ており、タイミングが重なってしまうのが原因
    ・AV delay設定を伸ばす=自己伝導を優先させる
    ・AV delay設定を縮める=AV delayによる早期のペーシングで自己伝導を抑える

上記でペーシングで自己脈を抑える設定を書きましたが、一般的には生理的な自己脈を優先させるように設定変更を行うことが多いです。

ただし、

自己脈を優先する場合は、下限レートを過度に下げすぎるとペーシングが必要になった時に徐脈となってしまうこと、

必要以上にAV delayを伸ばしすぎるとペースメーカーの不適切作動のトラブルの原因となる場合や、ペーシング時には単純にⅠ度房室ブロック状態となってしまうなど、

全体の評価をしながら設定変更する必要があります。

 

偽性融合収縮

自己脈により心臓が興奮後にペースメーカーによる刺激が入ってしまう状態です。

興奮が既に発生している心筋に刺激を入れても不応期に入った心筋は新たな興奮を起こしません。

そのため、体表心電図上では正常心電図が表示され、通常のフュージョンのように第三の波形が出現することはありません。

代わりにQRS波に小さなペーシングスパイクが見える場合もありますが、電位が小さいため見えない場合もあります。

実質的に生体には大きな影響は無いが、不要なペーシングによる電池消耗をしている状態です。

 

偽性偽性融合収縮

デュアルチャンバーペースメーカー特有のフュージョンです。

上手く心房、心室の脈を拾えない場合(アンダーセンス)を起こしている場合に発生する。

例)
心房のアンダーセンスを起こした場合、自己QRS波直上で心房側のペーシングがされる。
その後、AV delay経過後にT波付近で心室ペーシングが入ってしまう様な状況です。

心電図上のT波直上は『受攻期』と呼ばれ外部からの刺激により心筋で異常な電位が発生しやすく心室細動を起こす事がある。

以上のフュージョンを発見し改善するための一歩として、ペースメーカー患者のモニタ心電図をしっかり確認ましょう。

おかしなところにペーシングスパイクが無いか確認することが重要となります。

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